「令和6年度能登半島地震 支援活動報告会」を受けて
2024年5月18日(土)に、松本市勤労者福祉センター2F (2-1会議室)において「令和6年度 日本防災士会 長野県支部 総会」が開催されました。
総会に先立ち、生田流箏演奏(清水雅楽範)で会場が感動に包まれ、ほっこりした雰囲気の中で総会がスタートしました。
総会の議場では、会員等からの寄付による災害対応基金についての報告があった中で、
*能登各地の一次避難所には未だに2100人以上の避難者がおり、一部で断水も続いている状況であること。
*死者・行方不明者が250人以上、災害関連死についても、これからさらに増える可能性があること。
*長野県支部では5/2付でいったん支援を打ち切ったが、継続してボランティア参加要請があること。
*現地の道路補修等は進んだが、その他の大半の状況は震災直後とあまり変わりない状況であること。
・・・など、非常にショッキングな内容の報告でした。
また、休憩時間では、北海道支部から寄付して頂いたという「いす担架」による体験も行われ、いすに座った状態から救急車両に運べる担架があることを知りました。
総会終了後、午後1時から「令和6年度能登半島地震支援活動報告会」が行われ、被災地支援に入られた方々からの支援活動の様子についてご報告がありました。
日本防災士会長野県本部 Facebookより

発表者の皆様からの報告の中で、特に印象的だった内容としては、
*東日本大震災を体験された南三陸町の支援者の方々から届いたお弁当に「私たちを絶望から救ったのは人の力でした。明日はきっと晴れるよ!」と書かれていたこと。
*避難所に40人程の避難者がいた場合、一週間でのトイレ利用回数が延べ3000回になること。(仮設トイレの定期清掃、トレーラートイレの重要性、ラップポンの活用など)
*発災した2024年1月1日の前月(2023年12月)における降水量が非常に多ったことから、地盤の緩み等の影響も重なり、最悪のタイミングで地震が発生したこと。
*避難所においても人手不足が深刻な状況で、食事の準備や女性用物資の取扱いが大切だったこと。
・・・など、被災活動に携わられた防災士の皆様からの報告に、終始、心が揺さぶられました。
また、報告会の最後に大久保隆志支部長から総括頂いた中で、さらに印象的だった内容としては、
*能登半島地震は「ありとあらゆる災害が起きた」地震だったこと。(長い横揺れと下から突き上げるような隆起、津波、山腹崩壊、道路寸断、孤立、道路破壊、建物破壊、火災、液状化、断水、停電など)
*今回の地震の規模はマグニチュード7.6だったが、阪神淡路地震(マグニチュード7.3)の5~6倍のエネルギーだったこと。
*動いた断層の長さが150㎞(阪神淡路大地震では50㎞)に達していたこと。
*輪島市では4~5m以上、大谷町では2m以上地面が隆起したこと。
*今までにない1分間という長い揺れ(阪神淡路大地震では15~20秒)だったこと。
*被災家屋76000棟のうち、約24000棟が全壊・半壊状態だったこと。
*集落の半分以上が65歳以上(限界集落)で、物資片付け支援は現場にいた防災士しかいなかったこと。
・・・などがございました。
大久保支部長の信念として、防災での「学問は2つ」
防災は「思いやり」、「知識」は力なり・・・
*「人材」=能力のみ、「人物」=能力+人間性を兼ね備えた人、これからは「人物」が求められる時代!
*「防災」=「人間学」ということであり、幸せになるための「まちづくり」や「ひとづくり」が重要!
*「感謝にまさる能力なし」
*「傲慢」になった瞬間に、これまで築き上げてきた「信頼」を失う
*どんな人間も長所半分、短所半分
*「知恵(創意工夫)+ 行動 → みんなで助かる」という方程式
*幸福は「哲学」=「思いやり」、知識は「科学」=「力なり」
・・・人として、防災士として、非常に学ばせて頂いた大変有意義な報告会となりました。
また、「マンション管理士」の立場として自分が感じたことは、大久保支部長からのメッセージにもございましたが、被害を拡大させた背景に「人災」の側面があり、日頃から必要とされている「建物の耐震・メンテナンス等による備え」を怠った人間側の問題が深く関係している部分もあったようです。
「マンション防災」の観点からも、住民の皆様には「防災の重要性」に関する働きかけを継続して行ってまいりたいと思っております。