2025-05-26

「次の理事に何を引き継げばいいのか分からない…」
「前の理事が何をやっていたのか分からず、トラブルが起きた」
マンションの管理組合役員を経験した方なら、一度はこうした悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
分譲マンションの管理を支える「理事」「監事」は、日常管理や住民対応の要。
しかし、年1回の役員交代で情報がうまく引き継がれないと、せっかく築いた管理体制が台無しになってしまいます。
しかし、年1回の役員交代で情報がうまく引き継がれないと、せっかく築いた管理体制が台無しになってしまいます。
この記事では、現役のマンション管理士が「理事・監事の役割と引き継ぎの実務」を徹底解説。これを読めば、引き継ぎで迷うことはありません。
■ 管理組合とは?まず押さえたい基本構造
【検索キーワード:分譲マンション 管理組合】
【検索キーワード:分譲マンション 管理組合】
分譲マンションには、すべての区分所有者で構成される「管理組合」が存在します。共用部分の維持・管理、管理費の徴収、長期修繕計画の策定など、住環境を守る責任はすべてこの管理組合にあります。
そして、その意思決定や運営を担うのが役員です。
■ 理事と監事の違い|役割と責任を正しく理解する
● 理事の役割とは?
【検索キーワード:理事 引き継ぎ】
【検索キーワード:理事 引き継ぎ】
理事は、管理組合の実務執行部。中でも理事長は、理事会を代表し、管理会社や住民との調整を担う“司令塔”です。
理事の主な業務:
*総会・理事会の運営
*管理会社との連絡調整
*長期修繕計画や工事業者の選定
*苦情対応や住民間トラブルの処理
POINT: 理事の活動は「現場の実務」と「意思決定」がセット。属人化を避けるため、組織的に分担が必要です。
● 監事の役割とは?【検索キーワード:監事 引き継ぎ】
監事は理事会の執行から一線を引いた立場で、会計や運営の監査を行う「チェック機関」です。
監事の主な業務:
*決算・会計帳簿の監査
*理事会運営の合法性・適正性の確認
*総会での監査報告
POINT: 監事は“見張り役”ではなく、組合のバランスを保つ調整役でもあります。監査結果を単に指摘するだけでなく、「改善の助言」が求められる場面も。
■ 引き継ぎが不十分だとどうなる?
❌ 書類が残っていない
❌ 管理会社との契約内容が分からない
❌ 住民トラブルの経緯が引き継がれていない
こうした状態では、新役員が何から着手すべきかも分からず、マンションの運営そのものが危うくなります。場合によっては、損害賠償リスクや管理会社との信頼関係の悪化も。
■ スムーズな引き継ぎを実現する7つのステップ
✅ 1. 引き継ぎ資料のデジタル化
*理事会・総会議事録(過去2〜3年分)
*修繕履歴、長期修繕計画書
*会計帳簿・決算書
*管理会社契約書や報告書類
GoogleドライブやUSBなどに保存し、アクセス権を明確に管理することが理想です。
✅ 2. 業務チェックリストの作成
理事・監事ごとに担当業務を項目化し、「いつ・何を・どうするか」を明確に。
ExcelやGoogleスプレッドシートで管理すれば、更新・共有もスムーズ。
✅ 3. 引き継ぎ面談の実施
単なる資料の受け渡しではなく、現役員と新役員が一堂に会し、対面引き継ぎを行うことで、背景情報や注意点が伝わりやすくなります。
✅ 4. 管理会社を交えた三者引き継ぎ
*現理事長・新理事長・管理会社
*必要に応じて監事も同席
*管理会社の担当変更がある場合は、これも含めて確認しておくと安心です。
✅ 5. 年間スケジュールの共有
*理事会・総会の開催月
*管理費引き落とし日
*修繕点検・消防設備点検日 など
スケジュール表は、次年度の計画作成にも役立ちます。
✅ 6. FAQ形式の「業務ハンドブック」作成
理事長や監事が経験する“よくある質問”をQ&A形式でまとめておくと、新任役員の不安を軽減できます。
✅ 7. 引き継ぎ内容の文書化
最後に、引き継ぎ済チェックリストとコメント付きの「引き継ぎ報告書」を作成し、次期役員に正式に提出しましょう。
■ 管理士視点|よくあるNG引き継ぎ事例と対策
失敗例 原因 対策
「引き継ぎはメール1通のみ」 書類不備・説明不足 対面面談・チェックリストを活用
「口頭だけで進行中の工事が伝わってない」 文書化していない 工事履歴と契約書を共有
「監査内容が不明確」 過去の監査報告書が存在しない 会計監査結果を定型書式で残す
■ 最後に|“経験”をつなぐことが管理の質を守る
理事や監事の役割は、単なる1年任期の「役回り」ではありません。自分が経験して得た知識や判断基準を、次の人にきちんと渡すことが、マンション全体の安心と資産価値を守る行為そのものです。
マンション管理士からのひと言:
「引き継ぎは“作業”ではなく“信頼の継承”です。形式だけで終わらせず、未来の管理運営を意識して残しましょう。」
✔︎ この記事のまとめ
*理事=実務執行、監事=監査と調整
*引き継ぎは資料・口頭説明・管理会社を交えた3点セットが理想
*マンション全体の安定運営のためにも、引き継ぎは丁寧に行う
管理組合の運営でお悩みですか?
経験豊富なマンション管理士が、理事・監事の業務支援や引き継ぎのサポートを行っています。